難民用語集

難民専門用語集

移民(Immigrant, Emigrant, Migrant)

国際的に同意された「移民」の定義はまだ存在しないが、国際移住機関(IOM)の見解によると、移民を「国内移動を含め、自発的にほかの居住地に移動する」人々を指す。

インドシナ難民(Indo-Chinese Refugee, Indochinese Refugee)

1975年、インドシナ三国(ベトナム・ラオス・カンボジア)が社会主義体制に移行したことにより、経済活動が制限されたり、同体制の下で迫害を受けたりする恐れがあるなどの理由から自国外へ脱出し、難民となった人々。難民の流出はベトナム戦争終結後の1970年代後半から1980年代を通して見られ、特にその一部は船に乗って逃れた「ボート・ピープル」として海外へ脱出した。当時日本は難民条約に未加入であり、政治的措置としてインドシナ難民の一時滞在を認め、その後閣議了解により受け入れを決めたため、条約難民とは異なる。

経済難民(Economic Refugee)

一般的には、経済的理由から、よりよい生活を求めて本国を離れる人を指す。法的には、経済的な理由で国境を越えていることから、難民としての条件に当てはまらないので「経済移民」と表現すべきであるとされる。しかし、貧困を引き起こす要因が、難民条約上の迫害原因による場合もあるので、一概に経済的理由であれば難民ではないと判断することはできない。国際的に認められている定義はない。

国内避難民(Internally Displaced Person:IDP)

天災、戦争による被害、政治的迫害などを理由に、本来の定住地からの避難を余儀なくされ、国内を移動する人々。国境を越えた難民と異なり、国際社会による保護の対象とすることが難しい。

条約難民(Convention Refugee)

1951年難民条約第1条A(2)の定める難民の要件に該当すると判断された人。 難民条約第1条A(2)で定義された難民の要件は以下のとおりである。 (a)人種、宗教、国籍若しくは特定の社会集団の構成員であること又は政治的意見を理由に、迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有すること (b)国籍国の外にいる者であること (c)その国籍国の保護を受けることができない、又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者であること

難民(Refugee)

人種・宗教・政治的意見などを理由に、迫害を受ける恐れがあるため国を出た人。

難民申請者 /難民認定申請者(Refugee Applicant)

庇護希望者であって、他国で難民認定の申請を行い、難民としての地位と保護を求める人々。日本では、法務省による判断を待つこととなる。

難民調査官(Refugee Inquirer)

日本での難民申請の審査において、申請者の出身国の情報など申請に必要な情報を調査する人。法務大臣が、入国審査官の中から指定する。

庇護希望者(Asylum Seeker)

庇護を求めて保護国にやってきた人で、庇護申請の最終的な結論を待っている人。その中に「難民申請者」が含まれる。

マンデート難民(Mandate Refugee)

国連の難民援助機関である国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の権限により、難民の地位を認定された人。ただし、マンデート難民だからといって、自動的に他国で難民の地位を得ることにはならない。 機関

国連難民高等弁務官事務所(United Nations High Commissioner for Refugees:UNHCR)

1951年に設置された、世界各地の難民の保護と支援を行う国際機関。本部はスイスのジュネーブ。難民の基本的人権の尊重(難民が庇護を求める権利、自分の意思に反して迫害を受ける恐れのある国に送還されない権利など)を確保することが任務である。各国に、難民に関する国際的な諸規定の批准を促し、国際法の遵守を監督する一方、故郷を追われた人々に対して、食糧や水、住居、医療支援なども行う。

入国管理局/入管(Immigration Control Bureau)

法務省入国管理局の略。日本における出入国管理、在留管理、難民認定など、外国人に関する行政事務を担当する法務省の部局の一つ。

入国者収容所(Immigration Detention Centers)

法務省入国管理局管轄施設等機関の一つ。外国人収容所とも呼ばれる。東日本入国管理センター(茨城県牛久市)、西日本入国管理センター(大阪府茨木市)、大村入国管理センター(長崎県大村市)の、全国3か所に設置されている。「出入国管理及び難民認定法(入管法)」またはその関連法の規定に違反し、非正規滞在となった者など、退去強制手続の対象とされた外国人の収容、その送還(または放免)を職務とする。 制度・措置

異議申立て(Appeal)

日本において、難民申請が不認定処分を受けた者や、難民認定を取り消された者が、法務大臣に対し処分の再考を申し込むこと。不服の「理由あり」と判断されれば難民認定を受けることができ、「理由なし」であれば認定されない。

仮滞在許可(Permission for provisional stay)

難民申請者の法的地位を安定化させるために、2005年5月16日に施行された日本の制度。具体的には、在留資格未取得外国人(非正規滞在者等)から難民申請があったとき、一定の要件を満たす場合には仮に日本に滞在することを許可し、その間は退去強制手続が停止する。ただし、住居・行動範囲の制限、就労の禁止などの条件が課される。

仮放免(Provisional release)

日本において収容されている者(被収容者)の健康上の理由、出国準備等の必要性などに応じて、収容を一時的に停止し、身柄の拘束を仮に解く措置。仮放免の許可に際しては、身元保証人の存在、保証金(もしくは被収容者以外の者が差し出した保証書)の納付、住居及び行動範囲の制限、呼び出しに対する出頭の義務などの条件が課される。また、通常1~3か月に一度、入国管理局に出頭し仮放免を延長しなくてはならない。なお、仮放免許可を受けた者が、①逃亡した、②逃亡すると疑うに足りる相当の理由がある、③正当な理由がないのに呼び出しに応じない、④仮放免に付された条件に違反したときは、仮放免が取り消され、再収容となる。

強制送還(Deportation)

国内の法秩序や安全を維持するため、国家が国内の外国人に対し領域外に立ち去ることを強制する措置。犯罪の処罰ではなく行政行為を指す。広義の意味では(1)新たに入国しようとした者への入国拒否(2)すでに国内に滞在するオーバーステイや不法入国者への強制的な本国送還の2つがある。本国送還は、退去強制、国外追放と呼ばれることもある。国際法上国家の権利として認められているが、その行使は無制限ではない。例えば、迫害のおそれのある領域への退去強制を禁止するものとして、ノン・ルフールマン原則がある。

拘禁(Detention)

通常は強制的な措置によって行われる、身柄を拘束することによる移動の自由の制限を指す。なお、UNHCRの見解では、拘禁を「刑務所、閉鎖されたキャンプ、収容施設、もしくは空港の乗り継ぎ区域を含む狭い範囲の境界内もしくは狭く制限された区域での監禁。そこでは移動の自由が制限され、そのような制限的区域を去る唯一の手段は、当該領域を去ること」としている。そして通常庇護希望者を管理する措置として用いられてはならないとしている。

在留カード(Resident Card)

日本での中長期滞在者に対し、在留に係る許可に伴って交付されるもの。氏名等の基本身分事項や在留資格、在留期間が記載され、顔写真が添付される。外国人登録制度に替わり、2012年7月9日から導入され、在留管理制度のもと交付されている。 在留管理制度では、90日以上の在留許可を得ている者のみが登録でき、外国人登録制度下での地方自治体による在留状況の把握を一本化し、法務大臣が情報を継続的に把握することを目的としている。 1952年から60年間続いた外国人登録制度では、各市区町村において90日以下の在留期間が決定された者、短期滞在の在留資格が決定された者も外国人登録を行うことができ、また非正規滞在者も登録できた。

在留資格(Status of Residence/VISA)

外国人が日本に入国・在留するために持たなければならない資格。入管法に規定され、滞在の目的や期間が定められる。

在留特別許可/在特(Special permission for residence)

法務大臣が、在留資格がないと決定した者に対して、事情を考慮して特別に与える在留資格、またはその制度。

収容(Detention)

日本において、退去強制事由に該当すると疑われる者、または強制退去決定者のうち直ちに国外に送還することができない者の身柄を強制的に入国者収容所等に拘束すること。後者の場合は送還可能となるときまで入国者収容所等に収容されることがある。

出入国管理及び難民認定法/入管法(The Immigration Control and Refugee Recognition Act)

外国人の入国及び上陸、在留、出国、退去強制や、日本人の出国及び帰国、難民の認定等について定めた法令。入国管理に関する法律は、「入国管理法」という題名で、1951年に施行された。その後、日本の「難民の地位に関する条約」及び「難民の地位に関する議定書」への加入に伴い、1981年に「難民の地位に関する条約等への加入に伴う出入国管理令その他関係法律の整備に関する法律」により同令の一部改正が行われ、同令がこれまでの入国管理とは異質な難民認定手続等についても規定することとなったため、「出入国管理及び難民認定法」と改称された。2004年には難民認定に関する部分が改正され、申請期間制限の撤廃、仮滞在許可制度の創設、難民審査参与員制度などが導入された。2009年には、在留カードの導入や入国者収容所等視察委員会の設置などを盛り込んだ、更なる改正が行われました。

人道的配慮による在留特別許可(Special Permission to Stay on Humanitarian Grounds)

難民の基準は満たしていない、もしくは難民申請の結果不認定とされた者であっても、出身国の状況や個別の事情を考慮して特別に認められる在留許可。

第三国定住(Refugee Resettlement)

祖国に戻ることも避難先の国に定住することもできない難民を別の国が、永住を許可し受け入れる制度。

難民条約(Refugee Convention)

難民の保護について最も広く適用される枠組みを定める条約。1951年の「難民の地位に関する条約」と1967年の「難民の地位に関する議定書」を合わせたもの。日本は1981年加入。

難民認定申請/ 難民申請(Application for refugee status)

日本に庇護を求めて逃れてきた者が、日本の難民認定制度と入管法に基づき、日本政府に難民として認定されることを願い出ること。申請に際しては難民認定申請書とともに自らが難民であることを立証する資料(証拠、関係者の証言等)や主張する陳述書を提出し、難民認定手続を踏まなければならない。

難民認定手続(Refugee States Determination:RSD)

外国人が、難民申請を行ってから認定を得るための、所定の手続のこと。日本においては、入管法の中に定めてある。

難民の地位に関する条約(Convention Relating to The Status of Refugees)

1951年(昭和26年)7月28日の難民及び無国籍者の地位に関する国際連合全権委員会議において、難民の定義、難民の基本的権利、難民の義務等の規定を定めている。

難民の地位に関する議定書(Protocol Relating to The Status of Refugees, New York Protocol)

1967年に採択された、「難民の地位に関する条約」を補充し、難民とされる人の範囲を世界中の難民にも適用するための議定書。1951年の「難民の地位に関する条約」で規定されていた時間的(1951年1月1日以前)、地理的(ヨーロッパ地域において生じた事件)制限を取り除いたもの。

ノン・ルフールマンの原則(The principle of non-refoulement)

難民を彼らの生命や自由が脅威にさらされるおそれのある国へ強制的に追放したり、帰還させたりしてはいけない」という難民条約第33条にも規定された国際法上の原則。

非正規滞在(Irregular immigration, Irregular stay)

外国人が、その在留資格に反して、あるいは在留期限を越えて滞在すること。後者は特にオーバーステイ(超過滞在:overstay)といわれる。 <参考文献>

  • 奥脇直也、小寺彰『国際条約集 2012年版』有斐閣、2012年
  • 「壁の涙」政策実行委員会編 『壁の涙 法務省「外国人収容所」の実態』 現代企画室2007年
  • 坂中英徳、斎藤利男『出入国管理及び難民認定法 逐条解説』、日本加除出版株式会社、1994年
  • 新村出『広辞苑第六版』岩波書店、2008年
  • 法務省入国管理局出入国管理法令研究会、『出入国管理法講義』、日本加除出版株式会社、1995年
  • 国際移住機関 (IOM) http://www.iomjapan.org/act/act_002.cfm
  • 国際移住機関(IOM)「プレス・ビリーフィング・ノート:12月18日は世界移民の日です」2009年12月18日 http://www.iomjapan.org/news/press_207.cfm
  • 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)公式 HPより「UNHCRとは?」 http://www.unhcr.or.jp/ref_unhcr/unhcr/index.html
  • 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)「難民条約について」 http://www.unhcr.or.jp/protect/treaty/index.html
  • 全国難民弁護団連絡会議(JLNR)開示行政情報資料より「仮放免取扱要領」 http://www.jlnr.jp/guidance_and_instructions/guideline_provisionalrelease.pdf
  • 難民支援協会 (JAR) http://www.refugee.or.jp/
  • 難民認定協会(JAR)「難民認定申請を行う人への助言」(英語版もあり)http://www.refugee.or.jp/for_refugees/tothose/tothose_japanese_0904.pdf
  • 難民事業本部http://www.rhq.gr.jp/
  • 法務省入国管理局 公式HP http://www.immi-moj.go.jp/index2.html
  • 法務省入国管理局「新しい在留管理制度がスタート!」 http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_1/index.html
  • 法務省入国管理局「外国人の退去強制と出国命令」 http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/taikyo/syuuyou.html
  • 法務省入国管理局「難民の認定」 http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/nanmin/nanmin.html